紅葉する木を庭や街並みに取り入れたいけれど、何から選べばよいか迷う方は多いはずです。みんなが知っている「もみじ」以外で、紅葉する木一覧の中から候補を絞りたい、紅葉する木で有名な種類を知りたい、または管理しやすい紅葉する低木を探したいというニーズにも応えます。
さらに、秋に紅葉する木の見頃や、黄色く紅葉する木と赤く紅葉する木の違い、街路樹にある紅葉する木の代表例までを紹介し、紅葉しない木についても説明します。
この記事では、植栽計画に役立つ実用的な視点で、失敗しない選び方と育て方の要点をわかりやすく解説します。
- 紅葉する木の代表種と特徴
- 庭や街路に合う樹種の選び方
- 紅葉を楽しむための植栽の組み合わせ
- 紅葉しない木と理由
紅葉する木の種類と選び方

- 紅葉する木の一覧を紹介
- 紅葉する木の有名種
- 秋に紅葉する木の種類
- 黄色く紅葉する木の種類
- 赤く紅葉する木の代表樹
紅葉する木の一覧を紹介

紅葉を楽しめる樹木は非常に多く、庭のワンポイントとして使える低木から、公園や林で大きなスケールの景観をつくる高木まで幅広く存在します。
種類ごとに色づき方や葉の形、樹高、生育環境が異なるため、あらかじめ特徴を理解しておくことで、庭や植栽計画において後悔のない選択がしやすくなります。
とくに、紅葉は昼夜の寒暖差・日照・土壌水分・葉の健康状態などの複合条件で発色が左右されるため、見た目の好みだけでなく、植える環境との相性をあわせて考えることが大切です。
以下は、色の傾向と用途を軸に整理した代表的な分類です。
| 区分 | 主な樹種 | 色合いの傾向 | 樹高の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 黄系 | カラマツ ブナ ミズナラ シラカバ カツラ ユリノキ | 明るいレモン色〜黄金〜黄褐色 | 中〜高木 | 風景木・公園・山林 |
| 赤系 | ヤマウルシ ニシキギ ドウダンツツジ ハナミズキ ナンキンハゼ ブルーベリー | 鮮やかな朱〜深紅〜えんじ | 低〜中木 | 庭木・生け垣・アクセント |
| 多彩系 | ソメイヨシノ モミジバフウ マンサク ヒュウガミズキ | 緑→黄→橙→赤のグラデーション | 中〜高木 | 庭木・街路・公園 |
| 並木向き | イチョウ プラタナス ケヤキ モミジバフウ | 黄〜橙〜褐色 | 高木 | 街路樹・大規模景観 |
紅葉のピークは地域差が大きいものの、多くの平地では11月前後が見頃となることが多いとされています。紅葉がより鮮やかになる条件については、気象庁によって光量・温度・葉内成分の関係が整理されています。
(出典:気象庁「いよいよ紅葉シーズン! 葉を紅く染める最高の気象条件は」)
見た目の印象はもちろん、剪定しやすさ、落葉量、病害虫の出やすさなどの管理要素も含めて比較しながら選ぶと、長く楽しめる庭づくりにつながります。
紅葉する木の有名種

多くの人に親しまれ、安定して美しい紅葉を楽しめることで知られている樹種は、庭木や街路樹としての導入実績も豊富です。流通量が多く苗が入手しやすい点も魅力で、初めて紅葉樹を導入する場合にも選択肢となりやすい種類です。
ソメイヨシノは春の桜で有名ですが、秋には葉が緑から黄、橙、赤へと移り変わり、落葉までの色彩変化が静かな美しさを持ちます。

ニシキギは葉の赤さに加え、枝に翼状の突起がつく特徴があり、落葉後も彫刻的な姿を楽しめます。

ドウダンツツジは生け垣に多く利用され、晩秋になると一面が鮮紅色に染まります。

ハナミズキは街路や庭で普及し、秋には深い赤の紅葉と赤い果実が季節感を演出します。

モミジバフウは掌状の大きな葉が色相の幅を持ち、黄から橙、そして赤へ段階的に染まるため、一本でも存在感があります。
街路樹で見かける「大きなもみじっぽい木」は、モミジではなくモミジバフウのことが多いです。名前は似ていますが、別の種類の樹木です。
これらの種類は、発色の安定性や樹形の美しさが評価されており、個人の庭でも公共空間でも導入しやすい点が利点です。植え付ける際は、日照条件や最終樹高を考慮してバランス良く配置すると、季節の変化がよりくっきりと感じられます。
秋に紅葉する木の組み合わせ

紅葉の始まる時期は樹種・気候・立地によって変化しますが、秋の中でも早期・中期・後期と段階的に色づく種類を組み合わせることで、鑑賞できる期間を長く保つことができます。
秋の初めに色づき始めるのは、気温低下に敏感なヤマウルシやハナミズキです。これらは季節の変わり目を知らせる役割を持ち、庭に秋の入り口をつくります。
中期に最盛期を迎えるのは、ドウダンツツジ、ニシキギ、ソメイヨシノなど、多くの庭や街並みで見られる紅葉樹です。紅葉の色彩が厚みを帯び、風景の印象が最も変化する時期です。

秋の終盤には、カラマツ、ブナ、プラタナスなどの大きな樹種が黄褐色から深みのあるトーンへと変わり、山肌や並木道に落ち着いた雰囲気を与えます。
このように、紅葉のタイミングにリレー関係をつくることで、庭全体に流れと奥行きが生まれます。植栽計画では「どのタイミングで景観のピークを迎えたいのか」を意識することで、四季の移ろいがより豊かに感じられる庭づくりが可能になります。
黄色く紅葉する木の種類

黄葉の美しさは、葉の中に含まれるクロロフィルが秋の進行とともに分解され、もともと葉に存在していたカロテノイドの色が前面に現れることで生まれます。
赤い紅葉のように新たに色素が合成されるわけではなく、葉が「本来持っている色」が浮かび上がるため、柔らかく自然な明るさが特徴です。
また、黄葉は常緑樹の濃い緑や、建物・石材の背景と並べることで、色のコントラストが際立ち、景観全体に奥行きが生まれます。
カラマツは落葉性の針葉樹の中でも珍しく、晩秋に一斉に黄金色へと変化することで知られています。特に群生している林では、山の斜面全体が光を帯びたような風景になり、季節の移ろいを象徴する存在です。

ブナは日本の山地で広く見られ、ゆったりとした樹形と明るい黄葉が、山の秋を穏やかに染め上げます。シラカバは白い樹皮が大きな特徴で、黄葉との対比がひときわ際立ち、庭でも景観の中心になりやすい樹種です。

カツラはハート形の葉が黄へと変化すると同時に、葉から甘い香りが立つことでも知られ、視覚と嗅覚の両方で秋を感じられます。ユリノキやプラタナスは街路樹として見られる機会が多く、大型の葉が黄から褐色へとグラデーションを描きながら落ちていきます。
日照条件は黄葉の発色に大きく影響します。日当たりが良い場所で育てた木は発色が明瞭になりやすい一方、乾燥が強いと葉の縁が縮れたり傷んだりしやすいため、夏場は根元のマルチングや水管理が発色を左右します。
赤く紅葉する木の代表樹

赤い紅葉は、黄色い紅葉とは異なり、秋の低温や日照条件により葉内で新たにアントシアニンが合成されることで現れます。この色素は、光が強すぎる環境や急激な温度変化から葉を守る役割を持つとされ、その年の気候条件によって発色の鮮やかさが大きく変わります。そのため、同じ樹種でも年ごとに色の深みが異なることがあります。
ニシキギは均一に真紅へと染まるため、庭や公園でのアクセントツリーとして高い評価があります。枝に翼状の突起があるため、落葉した後も線の陰影が残り、冬季の観賞性も高く保たれます。
ドウダンツツジは、生け垣材料として広く利用され、晩秋に一斉に燃えるような赤を見せることで景観に強い印象を与えます。
ヤマウルシは葉の色幅が広く、黄色から橙、赤へと段階的に移行していくため、一本で多彩な色調変化が楽しめます。
ハナミズキは葉脈が強調されるような紅葉が特徴で、深紅へと至る過程に繊細な表情があります。
ブルーベリーは果樹として知られていますが、園芸的にも扱いやすく、土壌を整えることで鮮やかな赤を長い期間維持することが可能です。
赤い紅葉を美しく保つためには、夏場の葉の健全性が極めて重要です。葉焼け、害虫、病気などで葉が損傷すると、秋のアントシアニン合成に影響が出て発色が弱まります。風通しの確保、適度な日照、肥料の与えすぎを避けることなど、樹勢を整える管理が秋の色を決める鍵になります。
庭に取り入れる紅葉する木の選び方

- 紅葉する 木 低木の種類
- 紅葉する 木 街路樹の種類
- 庭に合う配色と植栽配置
- 紅葉しない 木の種類
- 紅葉する木で秋の風情を庭に
紅葉する木で低木の種類

低木は庭の中で取り回しがしやすく、地面に近い目線の高さで紅葉を楽しむことができるため、庭づくりにおいて重要な役割を担います。生け垣・玄関アプローチ・テラス周辺・鉢植えなど、配置の自由度が高い点も魅力です。高木と組み合わせることで立体的な色のレイヤーをつくりやすく、庭全体の季節感に深みが生まれます。
ドウダンツツジは紅葉低木の中でも代表的な存在で、春には壺形の白い花を、秋には鮮やかな真紅の紅葉を見せる、二段階の楽しみを持つ樹木です。自然に球状にまとまりやすく、刈り込みにも強いため、生け垣のラインを綺麗に作りたい場合に最適です。
ニシキギは枝に「翼」と呼ばれる特徴的な突起があり、落葉後にも造形的な美しさを保ちます。紅葉時には均一に濃い赤へ染まり、庭のアクセントとして強い存在感を放ちます。
ブルーベリーは果樹として親しまれていますが、園芸的にも優秀で、春の花・夏の果実・秋の紅葉と、年間を通して見どころがあります。酸性土を好むため、ピートモスの活用や専用土への植え付けが効果的です。
ヒュウガミズキは細かな葉が明るい黄から柔らかな桃色がかった赤へと移ろい、やさしい雰囲気を庭に添えます。
また、カシワバアジサイは大きな葉が深みのある紅葉を見せ、日陰気味の庭でも色がのりやすいため、半日陰の植栽計画において扱いやすい樹種です。
低木の選択においては、土壌の酸度・日照時間・水はけが発色と健康状態に影響を与えるため、植え付け前に土壌改良や配置計画を行うことが長期的な楽しみにつながります。
街路樹にある紅葉する木の種類

街路樹として用いられる紅葉樹は、景観性だけでなく、耐寒性・耐暑性・剪定への適応・病害耐性などの公共空間に求められる条件を備えています。そのため、庭に取り入れる際にも管理が比較的容易で、安定した生育が期待できます。
モミジバフウは掌状の大きな葉が黄→橙→赤へと段階的に色づくため、一本の木の中でグラデーションが生じやすく、歩道沿いや広場の並木として多く利用されています。プラタナスは大ぶりの葉が黄褐色へ落ち着いた色合いを見せ、冬には丸い果実が枝に残ることで季節性のある風景に寄与します。
ハナミズキは都市部で非常に多く植えられており、春の花だけでなく、秋の深紅の紅葉と赤い実が街並みに温度感をもたらします。イチョウは黄葉の象徴で、並木として植えると黄金色のトンネルが生まれ、季節の変化を強く印象づけます。ユリノキは成長が素直で樹形が乱れにくく、黄葉期の葉が光を透かすように輝くため、広い空間に適した樹種です。
ただし、これらの樹種は最終樹高が大きくなるものが多いため、庭に取り入れるときは、建物・塀・電線・配管からの離隔距離を確保することが必須です。とくに根がよく張る樹種の場合、地中インフラへの影響も考慮した配置設計が求められます。
庭に合う配色と植栽配置

紅葉樹を美しく見せるためには、樹種を選ぶだけでなく、色の組み合わせ・背景・視線の流れ・光の入り方といった「空間全体の設計」が大きく影響します。紅葉は単体で楽しむこともできますが、複数の色や樹高をレイヤー状に重ねることで、立体的で奥行きのある景観になります。
常緑樹を背景にし、その前に赤系のニシキギやドウダンツツジを配置すると、色の対比が鮮明になり、紅葉がより印象的に映えます。黄系のカツラやシラカバは、壁面・フェンス・建物といった無彩色の背景に置くと柔らかな光の表情が際立ちます。
庭の導線(アプローチ)に沿って低木を反復配置し、視線が奥へ向かう位置に中高木を据えると、自然と「奥行きのある庭」が成立します。また、紅葉時期が異なる樹種を組み合わせることで、初秋〜晩秋まで鑑賞期間を伸ばせるため、植栽計画では季節のリレー構成を意識すると良いでしょう。
植え付け時には、午前中に日光が入る場所を優先し、夏の西日が長時間当たる位置は避けることが、葉の損傷や色づき不良を防ぐポイントです。さらに、根が広がるための土壌改良、水はけ改善のための腐葉土や軽石の活用も、紅葉の質に影響します。
紅葉しない木の種類
紅葉しないと感じられるケースには二つの意味があります。ひとつは常緑樹の性質により秋に色を変えない種類、もうひとつは落葉樹でも条件が整わず美しく色づかない状態です。
常緑のマツやツバキなどは、葉の構造やワックス質で水分を保ち冬を越すため、一斉に色変わりしません。一方、モミジ類など本来紅葉する木が色づかない背景には、日照不足、夜間の冷え込み不足、窒素肥料の与えすぎ、夏の水切れや葉焼け、病害虫の影響などが考えられます。枝が混みすぎて内部に光が届かない場合も発色が鈍ります。
対策としては、午前日照の確保、夏の乾燥対策、秋口以降の窒素過多を避ける施肥管理、休眠期の間引き剪定で風通しを作ることが有効とされています。これらを整えることで翌季の色が改善する例は多いです。
紅葉する木で秋の風情を庭に
- 秋の主役は色の重ね方で長く楽しめる
- 代表種と低木を組み合わせて高低差を出す
- 午前日照と風通しが発色向上の近道になる
- 黄葉の明るさは常緑の背景で一段と映える
- 赤の鮮烈さは葉の健康と冷え込みが左右する
- 街路樹の丈夫さは小規模庭でも頼りになる
- モミジバフウやハナミズキは都市景観とも調和
- ドウダンツツジは生け垣で色面を作りやすい
- ニシキギは冬も枝の翼で造形を楽しめる
- カツラやシラカバは黄葉で光を取り込める
- ブルーベリーは実と紅葉で年中の見所がある
- 見頃のリレー設計で鑑賞期間を引き延ばせる
- 剪定と施肥の見直しで来季の色が整ってくる
- 落ち葉のマルチングで土と景観を同時に守る
- 紅葉する木を一株でも庭に迎え季節を深める











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