「日本庭園を自宅に作りたいけれど、何から始めていいのかわからない」
そう感じている方は多いのではないでしょうか。
日本庭園には難しそうなイメージがありますが、実は小さなスペースでも無理なく楽しめます。
和室の前の一角を整えるだけで、毎日眺めたくなる落ち着いた空間が生まれます。
石や砂利、苔などの素材を選べば、手入れも想像よりずっと簡単です。
この記事では、日本庭園を自宅に取り入れる作り方を、初心者向けにわかりやすくまとめています。
配置のポイント、和モダンと合うデザイン、費用の考え方、DIYのコツまで、順に解説します。
まずはできるところから、自分らしい和の庭を形にしていきましょう。
- 自宅に合う日本庭園の基本的な作り方がわかる
- 限られたスペースでも庭をつくる工夫がわかる
- DIYや業者依頼の費用と選び方が理解できる
- 苔・石・灯籠など素材ごとの活用方法がわかる
自宅に合う日本庭園の作り方の基本

日本庭園を自宅に作るメリットとは?

自宅に日本庭園を取り入れる最大のメリットは、日常の中に「落ち着き」と「自然の美しさ」を加えられることです。外構デザインとしてだけでなく、住まい全体の雰囲気や暮らし方にも良い影響を与えます。
ここでは、日本庭園を取り入れるメリットを順に見ていきます。
メリット① 四季を楽しめる
日本庭園は季節の変化を感じられる点が大きな特徴です。春の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、家にいながら自然の表情を楽しむ時間が、忙しい日々に心のゆとりを生み出します。
メリット② 手入れがしやすい
石・苔・砂利を中心とするため、植物管理の負担を抑えられる場合があります。剪定や水やりの頻度が少なく済み、維持の手間を減らしたい方にも向いています。
メリット③ 和モダン住宅と調和する
デザイン性が高く、住宅全体の外観価値向上にもつながります。美しさと心地よさ、そして管理のしやすさを兼ね備えた庭として、日本庭園は自宅に取り入れるメリットが大きいといえます。
日本庭園は、美しさ・心地よさ・維持のしやすさを兼ね備えた、暮らしに寄り添う庭といえます。
日本庭園を自宅に作る前に知っておきたい基本

自宅に日本庭園を作る際は、最初に「庭の目的と範囲」を明確にすることが大切です。
ここが曖昧なままだと、結果的に予算が膨らんだり、配置がうまくいかず後悔する原因につながります。
① 場所を決める
どの位置に、どれくらいの広さで作るのかを考えましょう。和室前の小さなスペースでも、日本庭園らしい落ち着いた雰囲気は十分につくれます。
② 内容を決める
「枯山水にする」「池や灯籠を置く」など、取り入れたい要素をあらかじめ決めておくと、デザインがぶれにくくなります。
③ 素材を決める
庭石や苔などの自然素材は、配置バランスが印象を大きく左右します。色味や質感をそろえることで統一感が生まれ、狭い空間でも奥行きが感じられます。
DIYなら、飛び石や庭石、砂利など扱いやすい素材から始めると安心です。
苔や灯籠は手入れに時間が必要なため、生活スタイルに合わせて無理のない範囲で取り入れましょう。
自然の風景を小さな空間に置き換えて表現する発想が、日本庭園では大切になります。
広さにとらわれず、バランスよく構成することで、自宅でも心地よい和の庭を楽しめます。
日本庭園を自宅にDIYでつくる方法

自宅に日本庭園をDIYでつくる場合、まず「シンプルに始める」ことが成功のコツです。
すべてを一度に作りこもうとすると、時間も費用もかかり、途中で挫折するリスクが高くなります。
まずは、小スペースに枯山水を作ったり、飛び石まわりに砂利を敷いてみることがおすすめです。
砂利敷きの基本のステップを詳しく解説します。
- ステップ①地面をきれいにする
まずは、地面の草や石、木の根っこをシャベルで取り除きます。
※除草剤を使うなら、作業の1~2週間前にまいておくと効果的です。 - ステップ②地面を平らにならす
レーキや板で地面の凹凸をならし、砂利を均一に敷ける状態にします。
- ステップ③地面を固める
整地した地面を転圧器やダンパーで押し固めます。
※狭い場所なら足で踏みで固めてもOK。 - ステップ④防草シートを敷く
雑草防止のため、防草シートを隙間なく敷きましょう。省略すると数ヶ月で雑草が出てきます
- ステップ⑤防草シートを固定する
シートは重ねて敷き、Uピンでしっかり固定します。
※平地ではUピンを50cm~1m間隔、重ね部分は50cm間隔で固定する。
砂利敷きをきれいに仕上げるには、整地が最も大切です。
地面がデコボコしていると、砂利が沈んだり、砂紋が崩れやすくなります。
まず防草シートを平らに敷いてしっかり固定したら、その上に砂利を敷いて庭のベースを作りましょう。
■おすすめの砂利の種類
・白川砂利
白×薄い茶色で、伝統的な和の雰囲気
・白川御影砂利
白×グレーで、上品でモダンな印象
・伊勢砂利
茶系で、落ち着きのある自然な雰囲気
砂利敷きができたら、次に庭石、灯籠など装飾品を置くと一気に日本庭園らしくなります。
まずは、枯山水用の景石を置くだけで、簡単におしゃれを演出できるのでおすすめです。
近年、ネット通販で庭石、灯籠、植栽が豊富に販売されているのでチェックしてみてください。
DIYでは重い石や大きな植木は避けるのがおすすめ。扱いが難しく、メンテナンスの負担も大きくなるからです。
自分でできる範囲と、プロに頼む部分を分けながら無理なく理想の庭を作っていきましょう。
■DIYに必要な砂利・景石・整地道具を詳しく知りたい方はこちらで解説
限られた敷地でも、日本庭園を作る方法

敷地が狭いからといって、日本庭園を諦める必要はありません。
限られた空間だからこそ工夫が生き、洗練された「箱庭」のような庭が実現できます。
ここでは、小さなスペースで美しく見せる3つのポイントを紹介します。
① 視線を誘導して奥行きを作る
飛び石をジグザグに配置したり、石や苔の高さに変化をつけることで、視線が自然に奥へ流れます。立体感が生まれ、狭さを感じにくくなります。
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② 小さく育つ植物を選ぶ
モミジやツバキの小型品種、盆栽などを使えば、手入れの負担を抑えつつ四季を楽しめます。スペースが限られる場合は、鉢植えやプランターも活用できます。
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③ 空白(余白)を上手に使う

ここでいう余白とは、砂利やコンクリート、敷石などで何も植えないスペースのことです。
小型の灯籠や手水鉢など、ポイントになるアイテムを1つ置くだけでも「和」の雰囲気が引き立ちます。すべてを詰め込まず、間を設けることで落ち着いた庭になります。
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狭い敷地でも、素材の選び方や配置の工夫次第で本格的な日本庭園の魅力を味わえます。
「引き算」の美学を意識しながら、自分だけの小さな和の世界を楽しんでください。
和モダンの庭での「足すよりも引く発想」の具体例
| アプローチ | 「足す」発想 | 「引く」発想 |
|---|---|---|
| 植栽 | 色とりどりの花をたくさん植える | 季節感のある花を少数だけ選ぶ |
| 素材 | 石・木・砂利・植木鉢などを全部入れる | 石と苔だけで静けさを演出する |
| 色使い | 赤・黄・青などカラフルにする | 白・黒・緑など落ち着いた色に絞る |
| 空間の使い方 | 花壇いっぱいに詰め込む | 間(余白)を活かしてスッキリ見せる |
和モダンな日本庭園を自宅に取り入れる

和モダンな日本庭園は、伝統的な和の美しさに現代的なシンプルさを融合させた庭のスタイルです。
静けさや品格を大切にしながら、直線的でミニマルなデザインを取り入れることで、現代の住まいにも調和します。
デザインのポイント
大切なのは「素材選び」と「構成のバランス」です。
例えば、竹垣をスチールやウッドパネルに替えると、メンテナンス性を保ちながらシャープな印象に。
石材も、自然石に加えて板石を使うと、モダンな雰囲気が生まれます。
■照明の工夫
やわらかな光で灯籠や植栽を照らすと、夜でも陰影の美しさを楽しめます。
LED照明なら省エネで長寿命。手間をかけずに雰囲気を演出できます。
■植栽の選び方
モミジやソヨゴ、ヤマボウシなど、線の細い樹形を選ぶとすっきりと上品に仕上がります。
苔やタマリュウを低木や地面に使うと、和の趣を保ちながら現代的な印象になります。
※要素を詰め込みすぎず、「余白」を残すのが美しく見せるコツです。
素材と色味を統一すれば、自宅でも洗練された和モダン庭園が実現できます。動線や使い勝手にも配慮し、機能性と美しさの両立を目指しましょう。
【関連記事】・和モダンな庭の作り方とレイアウトの考え方
自宅に映える日本庭園の作り方と費用

日本庭園を自宅に作る費用と予算の考え方

日本庭園を自宅に作る際の費用は、選ぶ素材や施工方法によって大きく変わります。
一般的には、業者に一式依頼した場合で15万円〜150万円以上、一部リフォームの場合は15万円〜30万円程度と言われています。
リフォームガイド
まず費用に影響する大きな要素は、「庭の広さ」と「使用する素材の種類」です。石材や灯籠などの天然素材は高価なものが多く、特に庭石は1個数万円以上することもあります。苔や庭木も種類によって価格が異なり、シンボルツリーの導入には数万円かかる場合があります。
このため、予算に合わせて“優先順位”を決めることが大切です。例えば、「庭石だけは本物を使い、他は代用品を活用する」「灯籠はレプリカを使い、雰囲気だけ演出する。」といった選び方をすることで、コストを抑えつつ見た目の質感は保てます。
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また、DIYで行う場合は人件費を節約できますが、そのぶん工具や材料を揃える費用と、作業時間が必要です。作業が難しい箇所(整地、重い石の運搬など)は、部分的にプロに依頼するのも一つの方法です。
あらかじめ全体像を描いたうえで、「どの部分にどれだけの費用をかけるか」を明確にすると、無駄なく効率的に庭づくりが進められます。
自宅に池を取り入れた日本庭園の工夫

池のある日本庭園は、空間に静けさや風情を加える要素として非常に魅力的です。小さな水面があるだけで、庭の印象は一気に引き締まり、四季折々の自然をより深く感じられるようになります。
ただし、自宅に池を取り入れる際は規模と維持管理をしっかり考える必要があります。小型の池であれば、FRP製の池枠やプラスチック製の水鉢を使って簡単に設置できます。地面を掘らなくても、地上型の池でも十分に雰囲気を演出できます。
池の形状はシンプルな楕円や円形がおすすめです。複雑な形にすると、見た目は良くても水の循環や掃除が難しくなります。あわせて、ポンプやフィルターを設置して水質を保つ工夫も必要です。これにより、藻や虫の発生を抑えることができます。
また、池の周囲に灯籠や飛び石、苔を配置すると、より自然な景観が生まれます。水面に木々の影を映すように設計すれば、奥行きと静けさが加わり、庭全体にゆとりのある印象を与えてくれるでしょう。
ただし、小さなお子さんやペットがいる家庭では、安全性に配慮した設計が必要です。浅めに作る、フェンスで囲うなどの対策を検討しましょう。
このように、池を取り入れることで庭に動きと季節感が加わり、自宅にいながら心を和ませる景観を楽しむことができます。
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飛び石や灯篭の配置方法と効果は?

日本庭園における飛び石と灯篭の配置は、見た目の美しさだけでなく、庭の導線や雰囲気づくりに深く関わっています。単なる装飾としてではなく、それぞれに意味があり、庭全体のバランスを整えるために重要な役割を担っています。
まず飛び石は、訪れる人の動きを自然に誘導するために用いられます。直線的ではなく、あえて不規則な間隔や角度で配置することで、歩く速度が緩やかになり、周囲の景色に意識が向きやすくなります。この「緩やかな移動の演出」は、庭を静かに味わうための日本庭園ならではの設計です。
一方、灯篭は庭のアクセントとして使われることが多く、視線を集める“象徴的な存在”となります。配置の定番は、池のそば・飛び石の先・樹木の根元付近など。特に日暮れ後に照明を仕込むと、幻想的な雰囲気が生まれ、昼とは違った魅力を感じられます。
ただし、飛び石の配置には注意も必要です。歩きにくい間隔や滑りやすい素材を使うと、かえって危険な場所になってしまう可能性があります。庭の利用頻度や使用者の年齢なども考慮し、実用性と安全性を両立させることが求められます。
灯篭についても、重さのある本格的なものを選ぶ場合は、基礎の安定性を確認する必要があります。倒れやすい場所には設置せず、しっかりと地面に固定するようにしましょう。
このように、飛び石と灯篭は単なる飾りではなく、庭の空間構成において意味のある配置が重要となります。見せたい景色、導きたい動線、夜間の光の演出など、目的を明確にすることで、庭全体の完成度が高まります。
苔や庭木の選定と管理方法は?

苔と庭木は、日本庭園の雰囲気を決定づける大切な要素です。それぞれの特性を理解し、自宅の環境に合ったものを選ぶことが、美しさを長く保つための第一歩となります。
まず苔は、湿度が高く日陰の多い場所に適しています。自宅で育てやすい代表的な品種には、スギゴケ、ホソバオキナゴケ、ハイゴケなどがあります。見た目や質感が異なるため、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。苔を敷く前には、雑草を取り除き、土壌の水はけと保水性を整えることが重要です。
苔の管理は意外と手間がかかります。乾燥しすぎると枯れてしまうため、特に夏場は定期的な水やりが必要です。ただし、常に湿った状態ではカビが発生しやすくなるため、風通しにも気を配る必要があります。落ち葉が溜まりやすい季節には、柔らかいブラシや手で優しく取り除くと苔が傷みにくくなります。
次に庭木ですが、スペースに余裕がない場合はコンパクトに育つ樹種を選ぶのがおすすめです。例えばイロハモミジ、ソヨゴ、ヤマボウシなどは、四季の変化が楽しめるうえに、管理がしやすい傾向があります。モミジは秋の紅葉、ヤマボウシは春から初夏にかけて花を咲かせ、季節ごとの彩りを庭に加えてくれます。
庭木の管理では、剪定と害虫対策が基本になります。枝が混み合っていると風通しが悪くなり、病気の原因になるため、年に1~2回は剪定を行いましょう。特にモミジのような樹木は、剪定時期を誤ると樹勢を損ねることがあるため、適切なタイミングを確認してから作業に取り掛かることが大切です。
苔と庭木は、自然の風合いを感じられる一方で、環境に合った管理が求められます。無理なく続けられる範囲で取り入れ、季節の変化を楽しめる庭づくりを目指すことが長く愛される和の空間につながります。
石や砂利で魅せる庭の装飾方法は?

石や砂利は、日本庭園において重要な構成要素です。装飾としての役割だけでなく、空間にリズムや奥行きを与える効果もあります。上手に取り入れることで、自然の美しさを感じられる落ち着いた庭が完成します。
まず石については、配置によって「山」や「水の流れ」といった自然風景を象徴的に表現することができます。例えば、大きな石を立てて山のような存在感を演出したり、平たい石を組み合わせて流れる水を連想させたりするのが基本的な考え方です。石の表面の質感や色味も重要で、庭全体の雰囲気と統一感を持たせるように選びましょう。
配置の際には「奇数」にすることが多く、3つ、5つといった石を組み合わせることでバランスが整いやすくなります。あえて不均等に並べることで、自然な景色を再現する手法が伝統的な日本庭園の特徴です。
次に砂利ですが、広い面積に敷き詰めることで雑草の抑制にもなり、見た目の整えにも効果的です。特に白砂利や黒砂利を使えば、庭全体に明るさや引き締まった印象を与えることができます。砂利の上に模様を描く「枯山水」のような技法を取り入れると、静けさや精神的な落ち着きも感じられる庭になります。
また、砂利の粒の大きさによっても印象が変わります。細かい粒は繊細で静かな表情を演出し、大きめの砂利は力強く個性的な雰囲気になります。使用する場所によって使い分けることで、庭に緩急をつけることができます。
ただし、どちらの素材も使いすぎると単調になりがちです。植栽や灯籠などと組み合わせて、バランス良く配置することが大切です。歩く動線を意識しながら、石と砂利が導線をつくるように配置すれば、自然に人の視線や動きが庭全体へと広がっていきます。
このように、石や砂利は日本庭園の「余白の美」を支える要素です。人工的な整備を感じさせず、自然の風景を切り取るように設計することで、自宅にいながら穏やかで奥深い景観を楽しめる庭が完成します。
自宅に合う日本庭園の作り方のポイントまとめ
- 日本庭園は日常に落ち着きと自然を取り入れられる
- 四季を感じられる庭は心のゆとりを生む
- 洋風ガーデンよりメンテナンスが少なく済む場合がある
- 自宅の雰囲気や外観価値を高める効果がある
- 作庭前に庭の目的と範囲を明確にしておくことが重要
- 枯山水や池などデザインの方向性を最初に決めると失敗しにくい
- 素材は質感と色味を揃えて統一感を出すと良い
- DIYでは砂利や飛び石など扱いやすい素材から始めるのが基本
- 重い石や大きな植木はDIYでは避けた方が無難
- 限られた敷地では視線誘導や奥行きの演出がカギとなる
- 鉢植えや小型の灯籠などで和の雰囲気を演出できる
- 和モダン庭園では素材選びと余白の使い方が重要
- 庭づくりの費用は素材と施工方法によって大きく変動する
- 池の導入には維持管理や安全面の工夫が求められる
- 石や砂利は視線の流れを作り、空間全体を引き締める要素になる











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