日本庭園の静けさと美しさを演出する重要な要素のひとつが砂利です。見た目の趣きだけでなく、防草や排水といった実用面でも優れています。
ただ、自宅の庭に取り入れる際は、砂利の種類や色・サイズ、敷き方に迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、日本庭園に合う砂利の選び方をはじめ、和モダンな庭への応用、模様や配置の工夫、費用を抑えるためのコツまで幅広く解説します。
初めて砂利を取り入れる方でも安心できる内容をまとめていますので、ぜひ参考にして理想の庭づくりにお役立てください。
- 日本庭園に適した砂利の種類と特徴
- 砂利の色やサイズによる庭の印象の違い
- 美しく長持ちさせるための砂利の敷き方と下地づくり
- 費用やデメリットを含めた砂利選びのポイント
日本庭園に最適な砂利の選び方
- 砂利を敷く意味と日本庭園の関係
- 日本庭園に合う砂利の種類とは
- 和モダンな庭におすすめの砂利デザイン
- 日本庭園の砂利、サイズ選びのポイン
砂利を敷く意味と日本庭園の関係

日本庭園において砂利を敷くことには、見た目の美しさだけでなく、機能的にも重要な役割があります。
まず、日本庭園の特徴である「静けさ」や「間」の美を表現する上で、砂利は欠かせない素材です。
白砂を敷き詰めた枯山水や、玉砂利を用いた庭の小道は、無駄のない構成と自然との調和を演出します。
また、砂利は景観を整えるだけでなく、防草・防犯・排水の面でも実用性があります。
砂利を敷くことで雑草の繁殖を抑え、歩くたびに音が鳴るため防犯効果も期待できます。
さらに、雨水が土に直接当たらず、泥はねや水たまりの発生を防いでくれます。
日本庭園では、こうした砂利の機能性を活かしながら、配置や敷き方によって空間の奥行きや静寂を生み出します。
砂利が持つ「控えめな存在感」が、苔や石、植栽とのバランスを整え、日本庭園ならではの落ち着いた雰囲気をつくり出します。
日本庭園に合う砂利の種類とは

庭に使用する砂利は、空間全体の印象を大きく左右する重要な要素です。
とくに和モダンな庭では、伝統的な日本の美意識と現代的なデザインが融合するため、砂利選びが空間の個性や調和を決定づけます。
この記事では、代表的な4種類の砂利を比較しながら、それぞれの特徴や使い方のヒントをお伝えします。
- 白玉砂利:明るく清潔感があり、高級感もある
- 伊勢砂利:落ち着いた雰囲気で、和モダンに好相性
- 白川砂利:枯山水や灯籠まわりに使われる定番で万能
- 白川御影砂利:白×グレーが上品で、モダン住宅に合う
今回は、同じ背景・レイアウトで砂利だけを変えたイメージ画像を掲載しました。
砂利の種類によって庭の雰囲気がどう変わるのか、ぜひ比較しながらご覧ください。
白玉石を敷いた庭
▼白玉石のイメージ画像

庭全体を明るく見せたいなら、白玉石がおすすめです。
白を基調とした色味は清潔感と高級感を演出し、庭に静けさと整然とした美しさをもたらします。
竹や苔、植栽と組み合わせることで、静寂でありながらもモダンな雰囲気を作り出します。

お庭に明るさを出したい方におすすめです。

伊勢砂利を敷いた庭
▼伊勢砂利のイメージ画像

落ち着いた雰囲気を求めるなら、伊勢砂利がぴったりです。
白玉石に比べて色味が抑えられており、ナチュラルな柔らかさが庭全体を包み込みます。
植栽や石材との調和にも優れており、温かみのある和モダンな庭を作りたい方に向いています。

落ち着きがあり、和モダンにもおすすめです。
白川砂利を敷いた庭
▼白川砂利のイメージ画像

伝統的な和風庭園の趣を大切にしたいなら、白川石が適しています。
薄っすらベージュから灰色がかった自然な色ムラが特徴で、植栽の緑とも自然に調和します。
柔らかく温かみのある空間を演出できる反面、明るさやシャープさを求める場合にはやや落ち着いている印象を受けるかもしれません。

日本庭園の定番で、迷ったら白川砂利で間違いないです!
白川御影砂利を敷いた庭
▼白川御影砂利のイメージ画像

和モダンなデザインに洗練された印象を加えたいなら、白川御影砂利が最適です。
白を基調に青みを帯びたグレーが差し色になっており、庭に明るさと落ち着きを同時にもたらします。
モダン住宅との相性もよく、シンプルで上質な庭空間を目指す方におすすめです。

洋風モダンにもおすすめです。

■ワンポイント情報
1平方メートルあたり、3~4cmの厚さで、約48~64kgが必要です。砂利はホームセンターでも購入できますが運搬が大変。ネット通販なら自宅まで配送してもらえるので、DIY初心者の方でも安心です。
東海砂利さんのお店ページで必要量を計算できます。
庭の印象を変える砂利選びのポイント
砂利の色を変えるだけで、庭の印象は大きく変化します。
選び方のポイントを4点まとめます。
- 明るさや清潔感を求めるなら白玉石
- 落ち着きを重視するなら伊勢砂利
- 伝統的な趣を尊重するなら白川砂利
- 洗練された空間を目指すなら白川御影砂利
また、砂利の配置やデザインにも工夫を加えると、さらに完成度が高まります。
一直線に飛び石を並べて周囲を均一に砂利で敷き詰めればシャープでスタイリッシュな印象に。
曲線的に配置すれば、柔らかさと動きが生まれ、より自然な和の趣を感じさせる空間になります。
庭全体のバランスを見ながら、建物の外観や周囲の環境との調和を意識して砂利を選ぶことが、理想の和モダンな庭づくりにつながります。
和モダンな庭におすすめの砂利デザイン

和モダンな庭は、日本の伝統的な要素に現代的なデザインを取り入れたスタイルで、住まいとの一体感を大切にします。
そのため、使用する砂利も控えめながら個性のあるものを選ぶと効果的です。
淡いベージュや薄茶色などの落ち着いた色合いの砂利は、和モダンの外観に自然となじみます。
例えば伊勢砂利のような自然な色味のものは、優しい印象を与え、植栽や木材との相性も良好です。

デザインの工夫としては、一直線に飛び石を配置し、そのまわりを均一に砂利で囲むと、シンプルで現代的な印象に仕上がります。
石を曲線状に敷いたり、緩やかなラインで配置すると、柔らかさが加わり、和の風情を引き出せます。

和モダンの飛び石まわりなど、伊勢砂利は合わせやすいです!
さらに、異なる種類や色の砂利を組み合わせて模様を作る方法もあります。
たとえば、白と黒の砂利を交互に使うと、市松模様や流れるようなラインが描け、庭にアクセントを加えることができます。
照明や植栽と組み合わせることで、夜間も美しく映える庭になります。
過度に派手な装飾を避けつつ、自然素材の良さを活かすことが、和モダンな庭にふさわしい砂利デザインといえるでしょう。
日本庭園の砂利、サイズ選びのポイント
日本庭園の雰囲気を決める上で、砂利のサイズ選びは非常に重要です。
同じ種類の砂利でも、サイズを変えるだけで庭の印象は大きく変わります。

京都大学の研究によると、京都の寺院では3分サイズが最も多く使用されています。
砂利のサイズと印象
砂利の大きさは、「分(ぶ)」という日本古来の単位や、ミリメートルで表されます。
1分は約3mmが目安です。
- 1分(約3mm)
繊細な模様を描いたり、枯山水の盛砂(もりずな)など、特に上品で繊細な雰囲気にしたい場所に最適です。 - 2分(約5~8mm)
和風庭園の敷き砂利としてよく使われるサイズです。歩いた時の音が心地よく、景観にもよくなじみます。 - 3分(約10mm)
枯山水の砂紋(さもん)を描くのに最適な、日本庭園の定番サイズです。多くの庭園で使われています。(※1) - 4分(約12~15mm)
3分より一回り大きく、存在感があります。光と影のコントラストが際立ち、庭に奥行きや立体感を出したいときに適しています。 - 中粒(15〜30mm前後)
景観と実用性のバランスが良い万能サイズです。ゴツゴツした質感がありながらも歩きやすく、防犯砂利としても適しています。 - 大粒(30mm以上)
存在感があり、自然でワイルドな景観を演出します。あまり人が歩かない場所のアクセントとして使うのがおすすめです。
(※1)参考元:京都大学:京都の寺院庭園における⽩砂景観の保 全に関する研究
砂利を選ぶ際は、庭のどこにどのような役割を持たせたいかを考え、サイズの特徴を活かすことが大切です。
日本庭園づくりを支える砂利の基礎知識
- 砂利の敷き方と下地づくりの基本
- 日本庭園の砂利はいくらかかる?
- 安く砂利を手に入れるための工夫
- 日本庭園に砂利を使う際のデメリット
砂利の敷き方と下地づくりの基本

庭に砂利を美しく、そして機能的に敷くためには、正しい手順での施工が欠かせません。
日本庭園のように長く美しさを保ちたい空間では、見た目だけでなく耐久性やメンテナンス性も重要になります。
次は、ご自分でDIYをする手順を解説していきます。

レーキや板を使って、入念に地面を平らにならすことが大切です。
- ステップ①地面をきれいにする
まずは、地面の草や石、木の根っこをスコップで取り除きます。
※除草剤を使うなら、作業の1~2週間前にまいておくと効果的です。 - ステップ②地面を平らにならす
レーキや板で地面の凹凸をならし、砂利を均一に敷ける状態にします。
- ステップ③地面を固める
整地した地面を転圧器やダンパーで押し固めます。
※狭い場所なら足で踏み固めてもOK。 - ステップ④防草シートを敷く
雑草防止のため、防草シートを隙間なく敷きましょう。省略すると数ヶ月で雑草が出てきます
- ステップ⑤防草シートを固定する
シートは重ねて敷き、Uピンでしっかり固定します。
※平地ではUピンを50cm~1m間隔、重ね部分は50cm間隔で固定する。

最後に砂利を均一に敷いて仕上げます。厚みは一般的に3〜5cmが目安で、用途に応じて調整します。
歩くことが多い場所では厚めに、あまり踏まない装飾目的の場所では薄めでも問題ありません。
均等に敷くことで、見た目も美しく、歩きやすくなります。
正しい下地づくりと丁寧な施工によって、砂利の美しさを長持ちさせ、機能的な庭を実現することができます。
日本庭園の砂利はいくらかかる?
日本庭園に砂利を取り入れる際、気になるのがその費用です。
砂利は比較的コストを抑えて施工できる素材ではありますが種類や用途、面積によって価格は大きく異なります。
ここでは砂利を敷きにかかる費用を表にまとめて解説します。
項目 | 内容 / 金額の目安 |
---|---|
白玉砂利(20kg) | 約3,000〜4,000円 |
那智黒石(20kg) | 約3,000〜5,000円 |
伊勢砂利(20kg) | 約2,000〜3,000円 |
砂利の必要量(1㎡・厚さ3cm) | 約50kg(2.5袋) |
砂利の必要量(10㎡・厚さ3cm) | 約500kg(25袋) |
防草シート | 1㎡あたり300〜800円 |
押さえピン(固定用) | 10本で約300円 |
施工費用(業者依頼・1㎡) | 5,000〜10,000円 |
※昨今の物価高の影響で、石の値段も上昇傾向にありますのでネットで確認ください。
ネットショップでの価格
2025年9月現在、楽天やAmazonなどのネットショップで販売されている砂利の相場は以下のとおりです。
伊勢砂利
自然な風合いが特徴で、20kgあたり 約3,000円前後。広い面積に敷く場合でもコストパフォーマンスが良い。
白玉砂利
一般的なタイプで、20kgあたり 3,000〜4,000円程度。
那智黒石
高級感があり、同じ20kgでも 3,000〜5,000円以上 と割高。
砂利の必要量(面積と厚さの目安)
必要な砂利の量は、厚さと敷く面積によって決まります。

砂利で50キロ以上必要でしたら運ぶのが大変です!送料無料のネット通販を活用すると運搬の手間が省けます。
- 面積の目安
- 1平方メートル=縦1m × 横1m
- 10平方メートル=縦3.16m × 横3.16m
- 砂利の必要量(厚さ3cmの場合)
- 1平方メートル → 約50kg(約2.5袋分)
- 10平方メートル → 約500kg(約25袋分)
安価な砂利でも1万円前後はかかる計算になります。
下地処理と施工の費用相場
砂利を敷く際は、砂利代だけでなく、下地処理の費用も考慮に入れる必要があります。
- 防草シートと押さえピン
- 防草シート:1㎡あたり 300〜800円程度
- 押さえピン:10本で 約300円
- 業者に依頼する場合
- 工事費用:1㎡あたり 5,000〜10,000円程度
広い面積を施工する場合
面積が広くなるほど単価が安くなる傾向があります。
50㎡(横幅約7.1m)以上の施工では20万円〜50万円と、まとまった予算が必要になることもあります。
最終的な費用は、砂利の種類、敷く面積、防草対策の有無、そしてDIYか業者に依頼するかによって大きく変動します。
計画的に進めるためにも、事前に見積もりを取るなどして、予算を立てておくことが大切です。
安く砂利を手に入れるための工夫

庭に使う砂利は種類や面積によって費用が大きく変わりますが、工夫次第でコストダウンが可能です。
- まとめ買いを活用
ホームセンターや園芸店では袋単位で購入でき、特売やまとめ割引を狙うとお得。 - ネット通販の送料無料品を選ぶ
50kg以上になると運搬が大変なため、Amazonや楽天で送料無料の商品が便利。 - 業務用の一括仕入れ
砕石業者や資材卸からトン単位で購入すれば、広い面積でも単価を大幅に下げられる。 - 使い分けで節約
見せ場だけに高級砂利を使い、それ以外は安価な砕石を敷くことで見栄えとコストを両立。
このように購入方法や使い方を工夫することで、砂利の費用は大きく変わります。施工前に比較・検討して、自分の庭に合った方法を選びましょう。

トンの単位の砂が必要な場合は、業者にお願いするのが安全です。
日本庭園に砂利を使う際のデメリット
日本庭園に砂利を敷くことは多くのメリットがありますが、デメリットも理解しておくことが大切です。あらかじめ把握しておけば、施工後の後悔を避けられます。
- 掃除のしにくさ
落ち葉やゴミが砂利の間に入り込むと取り除きにくく、手作業で拾う必要が出る。 - 汚れの目立ちやすさ
白や淡い色の砂利は汚れが目立ち、特に落葉樹の下には不向き。 - 歩きにくさ・転倒リスク
粒が大きい砂利は足元が不安定になり、子どもや高齢者の転倒リスクが高まる。 - 車輪との相性が悪い
ヒール、ベビーカー、車椅子は砂利に沈み込んで動かしづらくなる。 - 防草シートの劣化
防草効果を高めるにはシートが必須だが、寿命が来ると砂利を撤去して張り替える必要があり、手間とコストが発生。 - メンテナンスの必要性
風化や苔の付着で砂利は年月とともに変化する。変化を味ととらえることもできるが、常に清潔に保ちたい人には負担。
砂利を敷けばおしゃれな和の空間を演出できますが、その美しさを保つには手間がかかるというデメリットもあります。
しかし、その手間をかけるからこそ、自宅の庭に愛着が生まれ、癒しの空間へと育っていくのです。
このようなデメリットを理解したうえで、庭の用途やライフスタイルに合った砂利の使い方を選ぶことが重要です。
日本庭園に合う砂利選びと活用のポイントまとめ
- 砂利は日本庭園の静けさや余白を表現する重要な要素
- 敷くだけで雑草抑制や泥はね防止などの効果がある
- 防犯面でも砂利は実用的に役立つ
- 白玉砂利は明るく清潔感のある庭に適している
- 那智黒石は重厚で落ち着いた印象の空間を演出できる
- 伊勢砂利はナチュラルな色合いで和の庭に自然に馴染む
- 色の違いで庭の雰囲気が大きく変化する
- 和モダンな庭には控えめな色味の砂利が相性が良い
- 飛び石や模様と組み合わせると洗練されたデザインになる
- 大きい砂利は存在感があり小道やアクセントに向いている
- 中粒の砂利は歩きやすく防犯効果も高い
- 小粒の砂利は繊細で整った印象の庭に仕上がる
- 敷く前に雑草除去と地固めをして防草シートを使うべき
- 高級砂利は価格が高くなるため使い分けで調整が可能
- 掃除の手間や経年変化などデメリットも考慮する必要がある
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